支払者側の税務知識
法人(会社)に対して委託料などを支払う場合は関係ありませんが、個人または個人と見なされる者(法人以外の者)
に対して支払う時には、支払者側が源泉徴収・納付の義務を負うことになります。
最近は税務調査が厳しくなっており、公立文化施設も聖域ではなくなりつつあります。 文化事業担当者にも税務知識は必要な時代になりました。
個人に対して出演料を支払う場合、支払者側が源泉徴収して税務署に納付する義務があります。(所得税法204条)
法人に対して出演料を支払う場合は、その必要はありません。
この義務を怠った場合は、最低過去3年にさかのぼり、支払者に対して納税+重加算税が加算されますのでご注意下さい。
詳しくは国税庁にお問い合わせ下さい。
個人とは・・・
法人ではない者。つまり、株式会社や有限会社、財団法人、NPO法人ではない者です。
会社名の一部に株式会社、有限会社、財団法人、NPO法人などの法人名が入っていない場合は個人の扱いになります。
例)「NPO法人 文化行政サポートセンター」は法人ですが、「NPO 文化行政サポートセンター」は法人ではありません。(単なる「NPO」と「NPO法人」は異なります)
「財団法人 ABC管弦楽団」は法人ですが、「ABC管弦楽団」は法人ではありません。
法人ではないのに法人を詐称した業者は商法違反となります。
個人に対して出演料を払った場合、支払者が行うべき実務
・例えば、出演料(委託料)として10万円を支払う場合は、その1割の1万円を源泉徴収税として預かり、出演者には9万円を支払ます。
・預かった1万円は、翌月10日までに所轄の税務署に納付します。(遅れると重加算税が加算されますので注意)
・預かった証拠として、出演者に「源泉徴収の支払調書」を発行します。
・毎年1月31日までに税務署に「支払調書の合計表」を提出します。
・名目が何であっても(交通費や運搬費でも)個人に対する支払はすべて源泉徴収の対象になります。
この件に関するお問い合わせは、正確を期するため、国税庁または所轄の税務署にご確認下さい。
参考
官公庁や企業間取引では、多くの場合、法人であることが契約条件になります。
個人は取引対象として認められないケースが多いです。
会社名などに、株式会社、有限会社、財団法人、NPO法人など、法人格が明記されているかどうか、チェックして下さい。