NPO法人の正しい理解について
NPOと聞いて連想する言葉は何ですか? と問うと、8割ほどの方が「ボランティア」と答えます。
では「ボランティア」の定義は? と問うと、ほとんどの方が「無償の奉仕活動」と答えます。
「ボランティア」の定義を調べると、中央社会福祉審議会答申では「自由な意志に基づき、他人や社会に貢献すること」、生涯学習審議会答申では「個人の意志に基づき、社会に貢献すること」とあります。
オックスフォード大辞典では「志願兵」「自らの意志による行動」とあり、「無償奉仕」という定義はありません。
NPOは何の略ですか? と問うと「Non Profit Organization」と多くの方がご存じです。
その意味は? と問うと、「利益を得ない組織」と、これも多くの方が答えます。
直訳はそうですが、NPO促進法の条文を読むと、正しい意味は「外部に利益を分配してはいけない」であり、つまり「株式会社のように、株主など組織外部に利益を分配してはいけない。得た利益は内部還元して社会的使命のために活用しなければならない」ということがわかります。
わが国では、この2点の誤解によってNPO法人が正しく理解されていないことがよくあります。
NPO法人とは「自らの意志によって行動したい人たちが集まり、収益を外部に分配せず、自らの社会的使命のために活用する法人組織」というのが正しい意味だと思います。
これを正しく理解しないで志なかばで消えていったNPOは数え切れません。
最初の志は素晴らしくても、運転資金がなければ、たちまち行き詰まるのは当然です。
従ってNPO法人には、次世代公益法人として一般企業と同じように利益を上げ、職員に世間並みの給与を支払い、法人税等を支払い、残った収益を研究や設備、人材などに還元投資して事業の拡大と普及を図り、社会に奉仕することが課せられています。
NPO法人は、その活動を通じて社会に奉仕しますが、個人が善意で無料奉仕するのとは少し意味が異なります。
私たちはNPO法人とはそうしたものであると考えています。